インタビュー 2025年03月27日
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HIP HOPシーンの異端児!注目の音楽プロデューサー・ギタリストのViryKnot(ビリーノット)にインタビュー!
LUNV LOYAL Viryknot ビリーノット ロック バンド ギタリスト

文:ino

写真:JET


ギタリストとしても活動しつつ、同郷・秋田出身のLUNV Loyal(ルナ・ロイヤル)をはじめ、数多くのアーティストの楽曲を手がけてきたViryKnot(ビリーノット)。

ロックなアティチュードを感じさせる楽曲や緻密なサウンドメイクで唯一無二の存在感を放ち、注目を集めているプロデューサーだ。

ロックシーンでバンド活動をしていた彼が、HIP HOP業界で音楽プロデューサーとして活動を始めたきっかけや、制作におけるこだわり、さらに日々のルーティンなど多角的にその人物像に迫った。


音楽プロデューサーとしての活動を始めたきっかけ


ープロデューサーとしての活動を始めたきっかけなどはあるのでしょうか

ViryKnot:もともとはバンドでギタリストとして活動していたのですが、ちょうどコロナ前あたりのタイミングでバンドが解散してしまって。

その後も曲作りは続けていて、ずっと好きだったHIP HOPのトラックをバンドの楽曲制作の“息抜き”のような感覚で作り始めたんです。

そうしているうちに少しずつトラックの依頼をもらえるようになって、自然な流れで「じゃあ、プロデューサーとしてやってみようかな」と思うようになりました。


中でも大きな転機になったのが、フージ君*(OVER KILLのFUJI TRILL)との出会いです。

もともと自分はOVER KILLが大好きで、フージ君のこともすごくリスペクトしていて。

ある日、フージ君がX(旧Twitter)で「ギター弾ける人いませんか?」と投稿していたのを見つけて、面識はなかったんですが、ギターには自信があったので「弾きます!」とリプライしたところからやりとりが始まりました。

その結果、Jin Dogg & OVER KILLのEP『HELL GATE』に収録された「My Way」に参加することになったんです。

それまでも地元のラッパーたちに楽曲を提供していたのですが、そこから更に本格的にHIP HOPシーンで楽曲提供をするようになっていきました。



先ほどお話に出た“地元のラッパー”でもあり、これまで多くの作品を共に手がけてきたLunv Loyal(ルナ・ロイヤル)さんとは、もともと面識があったのでしょうか?

ViryKnot:ルナ(Lunv Loyal)とは地元が近くて、中学は別だったんですが、当時は「顔が似てる」ってお互いに周りからよく言われていて、面識がない頃からなんとなく意識し合ってました。

街を歩いていて間違われることもあったくらいで。

確か中学3年か高校1年くらいのときに、共通の友達が間を繋いでくれて初めて会ったんです。

「お前が俺に似てるってやつか?ようやく会えたな」って話しました(笑)。

それ以来、ずっと仲が良いですね。







ーご自身の音楽スタイルを、一言で表すとしたら?

ViryKnot:一言で表すのは難しいですが、あえて言うなら“アティチュードがロック”って感じですね。

自分としては、ロックって本当にイケてると思ってるんですよ。

それなのにヒップホップの業界にいるって、ちょっと矛盾してるように思われるかもしれない。でも、自分からするとラッパーやヒップホップのスタイルって、ものすごく“ロック”だと感じるんです。

本人たちはあまり意識していないかもしれないけど、その在り方や姿勢って、まさに“アティチュード”の領域なんですよね。

だからこそ、自分が“ロックだな”と感じるアーティストと一緒に作品を作りたいと思っています。

それは、サウンドとしてのロックという意味ではなくて、その人の姿勢、生き方、音楽への向き合い方



ーインスピレーションの源はありますか?


ViryKnot:インスピレーションは、自分が普段から好んで聴いている音楽から得ることが多いですね。最近だと、デトロイトのトラップが気になっていて、自分はプロデューサーなので、ひとつの曲を気に入ると、めちゃくちゃ分析して聴いてしまうんですよ。

「なんでこんなにカッコいいんだろう」とか、「どうしてこの音をチョイスしたんだろう」とか。

そういう部分に対する視点は、ラッパーとは少し違うかもしれないですね。

自分の中では、ラップも含めて曲全体が“ひとつの作品”だと思っているので、全部の音に耳を傾けます。何度も聴く中で、「このスネアやばいな」とか「この音の重ね方いいな」って思うことがあって、そういう要素が、曲を作るときに自分の頭の中の“引き出し”から自然と出てくるんです。



ー曲作りにおけるこだわりについて教えて下さい

ViryKnot:ラッパーファーストなので、まずはそのラッパーがどんな作品を作りたいのか、ということを一番大事にしています。

だから、例えばサウンド的に「ここはロックっぽさは要らないな」と思えば、無理に入れることはしないし、逆に「自分のやりたいことの中でどこまで出せるか」というバランスを考えて作っています。

毎回色々なタイプの曲を作っているのは、そういうスタンスがあるからかもしれないですね。

とはいえ、どんな楽曲においても、一瞬でも「ハッとする部分」を必ず入れたい、という意識は常に持っています。



ープロデューサーとして、影響を受けたアーティストやプロデューサーはいますか?

ViryKnot:この人、という特定のプロデューサーがいるわけではないんですけど、色々な曲を聴いて刺激を受けています。だから、自分にとってはみんなかっこいい存在ですね。

色々なプロデューサーから日々、学ばせてもらってる感覚です。

ビートメイクを始めたばっかりの頃は、YouTubeにあるチュートリアル系の動画もかなり見まくってました。

SLEEP FREAKS(スリープフリークス)というチャンネルはよく見てましたね。

操作方法みたいなテクニカルな部分を学ぶ感じで、誰かのクリエイティブを真似するとかは無いんですが、海外のプロデューサーの動画とかもよく見ていて、英語だけではなくロシア語だったりとか、何を言ってるか分からないことも多いんですけど、使ってる機材や音の重ね方を見て、「あ、こういう音をこういう場面で使うんだな」と理解する感じです。

そんな感じで国内外問わず、色々なスタイルから学ばせてもらうっていうのは、昔から変わらず今も続けてます。


ギターとの出会いは、意外なところから


ー音楽を始めたきっかけは何ですか?

ViryKnot:実家に物置みたいなスペースがあって、10歳くらいのときに、そこにあった親父のアコースティックギターを触り始めたのが、自分の音楽の原点ですね。

親父は趣味でちょっとギターを弾いていたんです。

その時のこと、すごく覚えてるんですよ。

親父にAm(Aマイナー)っていうコードをひとつだけ教えてもらったんです。

そこからアコギを触り始めて1年後くらいに、親父がエレキギターを持ってきてくれて、そこからエレキギターを触り始めました。



ーそこからはずっと「ギターひと筋」って感じだったのでしょうか?

ViryKnot:中学の部活でコントラバスをやっていました。

弦楽器が好きだったので、中学の部活で弦楽器がやりたいとなると、軽音楽部が無いので、吹奏楽部に入るしかなくて、消去法でコントラバスしかないという流れで(笑)

祖父が楽器屋だった影響もあったのかもしれません。



ー音楽を仕事にしようと思ったのはいつからでしたか?

ViryKnot:小学生の頃から、バンドマンやロックに対して「かっけぇ!」と強く憧れていて、夢で言えば“ロックスターになりたい”って本気で思ってたんです。

だから、ギターを始めた時点でもう「これを仕事にしたい」って自然に思ってましたね。

それまではバスケをやってたんですけど、ギターを手にした瞬間に気持ちが一気にそっちに向かって、バスケはきっぱりやめました。



ーギタリストとして、ルーツや影響を受けたアーティストはいますか

ViryKnot:いっぱい居るんですけど、一番はエドワード・ヴァン・ヘイレンっていうギタリストが最高に衝撃受けました。

弦を右手の指でたたく「タッピング」という奏法があるんですけど、それもやったりしてましたね。


音楽以外の趣味や影響を受けたカルチャーはありますか?

ViryKnot:服がめっちゃ好きで、地元ではアパレルの販売を仕事として、趣味も半分みたいな感じで続けてました。

ファッションは「これ、自分っぽいな」って感じるものとか、そういう自分の好きなカルチャーに近い服を選んで着るのが好きですね。


ー1日のルーティンや、制作に集中するための習慣などはありますか?

ViryKnot:ベタですけど、朝起きて夜に寝るっていう、基本的な生活リズムをちゃんと守ることが大事だと思ってます。自分は朝7時に起きて、日付が変わる前には寝るようにしています。

制作系の人って、結構夜型のイメージがあるかもしれないですが、自分はそれを実際にやってみて「なんか違うな」って思ったんです。

夜って、感覚的にですけど、あまり脳に酸素が行き渡らないような感じがして。

なので俺は、朝起きてベランダに出て、タバコを吸って、コーヒー飲むという習慣を大事にしてます。

最近はStaxx Tさんに教えてもらったアダプトラテが、かなりいい感じなので続けようかなと思っています。



ー日本の音楽シーンについて、感じることなどありますか?

ViryKnot:海外では、大規模なフェスでバンドセットを組んでパフォーマンスするアーティストがたくさんいて、そういう流れになってるというか、それが普通なんですよね。

日本でも、そういった流れが少しずつ定着し始めていて、「追いついてきたな」と感じる部分もあります。

いろんな場所で大きなフェスが開催されるようになってきているので、だからローカル単位でラッパーが自己主催でフェスを開くような動きも、きっと10年以内には出てくるんじゃないかなと感じています。


ー今後の展望や目標はありますか?

ViryKnot:日本一のプロデューサーになることです。

HIP HOPのプロデューサーと言ったらViryKnotと言われたいし、1番を目指しています。



ViryKnot Profile


各SNS情報

Instagram:https://www.instagram.com/viryknot_/

X:https://x.com/vkrflcts



BUZZチケ編集部注目ポイント

ViryKnotは秋田出身の元バンドギタリストで、コロナ禍を機にHIP HOPプロデューサーとして活動を開始し、LUNV Loyalら多くのアーティストと共作して注目を集める存在に!

カッコいい楽曲ばかりなので、ぜひチェックしてみて!

https://open.spotify.com/intl-ja/artist/0OmLGcDtPXUT2MnAtMtykp