ニュース 2023年02月25日
...
【インタビュー】SuG、sleepyheadを経て武瑠が語る15周年を迎えた心境とは?
SuG sleepyhead 武瑠

SuG、sleepyheadを経て、ソロ活動と、デビュー15周年を迎えた武瑠。

アーティストとしてだけではなく、アパレルや制作関連の実業家としての顔や、小説家としての顔を持つ稀有な存在。そんな武瑠に今の心境についてインタビューさせてもらった。


ー15周年を祝した「武瑠 15TH ANNIVERSARY STREET GOTHIC FES」でしたが、振り返ってみての感想を教えて下さい

まず15周年だから、1回しかできないからということで思い立ったのはもちろんなんですが、かなり決断に時間がかかったなという記憶があります。

あの豊洲PITくらいの大きさになると1年前くらいには完全決定しなければいけないのですが、オファーを出したアーティストさんも、コロナの影響で自分達のワンマンすら決められない方が多かったです。

いつもだったらすぐに承諾してくれる方達にも、「すぐには決められない」と言われることも多々あり、全員が本当に今やるべきなのかをギリギリまで悩みました。

それが事前準備の中で1番印象的なところですかね。


photo by エドソウタ


ー実際開催してみての感想はいかがでしたか

文化祭みたいな、本当にお祭りのようなイベントでしたね。

自分が15年間、悩みながら活動していた時期もありましたが、そんな自分へのご褒美のような日になったかなと思います。

今まで関わってきたアーティストさん達がたくさん手を貸してくれて、武瑠の歴史に欠かせないアーティスト、クリエイター、スタッフの皆さんが本当に大集合してくださって、普段では笑わないところでも笑顔が出てしまうような、シンプルに楽しいイベントになったと思います。


photo by JET


ーファンの皆さんからの反応はどうでしたか

DMとかリプライとかはなるべく見るようにしていて、すごい長文で感動したと伝えてくれた方が多かったように思います。


ーアーティストとして15周年を迎えられた秘訣は何でしょうか

トラブルがいっぱいあったからかな、と思います。

事務所を2回変わっていたり、自分がアーティストとして活動できなくなるかもしれないみたいな経験もしました。

何回かガス欠みたいになったことはあるのですが、その度に不思議とトラブルが起こり「こういう終わり方はしたくない」と思って自分を奮い立たせたりしました。

悔しいことや、叶えたくても叶えられなかった夢があったりしたからこそ、それを叶えたいと思うことが出来て、結果的に続けることが出来たと思います。


photo by JET


ーグッズでこだわっている所はありますか

ずっと自分13年くらいアパレルブランドをやっているのですが、ブランドでは自分が良いと思うものを追求するために、売値が高くなってもいいし、どんな高い生地も使うっていう感覚でいるんですけど、グッズに関してはセカンドラインという位置づけで考えている部分があります。

みんなが手に取りやすい価格帯で、なおかつクオリティが良くて、デザインがいいものと、線引きをしつつこだわるようにしています。


photo by JET


ー蝶のイメージが定着したのはいつからだと思いますか

あのモチーフは18歳の時に自分の胸に入れたタトゥーのそのままのデザインなんです。

最初は、夢が叶ったら色を入れようと思っていました。大事過ぎて、あまり世に出したくないと思っていたんです。

いくつかの場面で、タトゥーのデザインを使えばいいじゃんっていう話になったのですが、その時は「渡したくない」って言いましたね。

そのあとソロになった時は月のモチーフを使っていました。

15周年になって初めて自分のタトゥーのあの蝶を使おうって思えたので、去年から使っています。

結局その夢は叶ったのですが、色を入れるより、今のままがいいかなと思ってそのままにしています。


photo by エドソウタ


ーLIVEやMVにダンサーを起用されたりしていますが、ダンスとの関わりはあるのですか。

本当にかじっている程度で、アイソレーションとか基礎的な部分だけ触ったことがあります。

曲に必要な振りを少しだけやったり。

音楽との出会いが「このバンドのこの楽曲に衝撃を受けた!」みたいなのが無く、オリコンの10位以内とか、12時間とかかけて100位以内のPV全部見たりとかしていたんですよ。

だからこそ、いろんなジャンルを分けずに考えるようになって、自然と「この曲にはダンサーが必要だから入れたいな」という考えが出てくるようになりました。

ただ当時のビジュアル系としてはやっぱり珍しかったので、なんでそこでダンサー使うの?といった意見もあったみたいですが。


photo by JET


ー活動してきた中で、「やってよかった」と思う努力と、「しなくてもよかった」努力はありますか。

最近になって、1番努力して良かったと思うことは英語ですね。

2013年くらいから自主的に、自分への投資だと思って英会話に通い始めたんですが、その当時って1番忙しかったかもくらいな感じで、年に休みが全然なくて、2~3日まとまっての休みなんてもう5年くらいないですっていう状況で、本当に寝れていなかったので、このタイミングで英会話を始めたから、もちろん周りには止められていたのですが。

3週間くらい、ニューヨークに留学みたいなのにも行ったりしましたね。

当時はこんな大金自分で払うのもギリギリだって思って悩んだんですけど。

でも今になってその体験は生きてきて、独立して自分の会社として海外挑戦する時に、すごくコンパクトなチームで海外に行けたり、O-1ビザという、アメリカでアーティストとして3年間仕事ができるっていうビザを取得することが出来ました。

海外のアーティストとコラボしたり、海外のイベントに出演したり、色々と活動していきたいです。

やらなくてよかった努力については…完全無駄っていうものはないのかもしれないですね。

やらなくてもいいかなっていうことが割と力になったりもするので。

無駄だと思っていたことも自分の糧になってたりもするし。


photo by JET


ー個人事務所として活動をするにあたり、どのような大変さがありましたか。

自分と同世代くらいで会社経営している人はみんな思うことだとは思うんですけど、昔ながらのシステムやルールが今もガッツリ残っていて、無駄がすごく多いことにとにかく直面することですね。

わかりやすく言えば、ハンコとかファックスとか、役所にいかなきゃいけないみたいなことだったり。

本業に力を注ぎたいのに、そういうことに時間を割かなければいけないことが大変でした。


ー今は何人くらいのチームで動いているのですか。

プロジェクトによって関わる人数が全然違うので、それを全て数えたことはないのですが、PVの依頼が来たらまず最初にヒアリングして自分がプロデューサーになってこの規模なら自分が監督やります、この規模でこういうのがやりたいのであればこの監督を連れてきてこのカメラを使います、みたいな感じで案件によってチームを変えるので、何人というのはないのかもしれないです。


ークリエイティブとビジネスの側面を一人で担う難しさは、どのように解決していますか。

解決は…出来ていないですね。笑

そもそも完璧ってないと思いますし、大きな会社でもメリットデメリットを見てきました。

どんな会社でも、ここはいいけどここは穴だなみたいなのってあると思うので。

例えば宣伝力はものすごくあって、認知度は高いけどその分判断が遅いとか。

一長一短というのは、どこにでもあることなので、逆に開き直るというか、ここはある程度できません、ただ全員完璧じゃないので許してください、みたいなのはあるかもしれないです。

でも個人だからこそ、税務上のところはめちゃくちゃ気をつけてますね。

入金を遅れないようにする、とか。


photo by JET


ーアーティスト〜裏方まで幅広い人から愛されている武瑠さんですが、意識してきたことはありますか

自分自身もアーティストなので、あんまりアーティストやクリエイターを傷つけたくないなっていう気持ちが大きいです。

とにかくアーティストやクリエイターが担う、0から1にすることが大変なんだということを理解しています。

また、アーティストだったら意外とお給料もらえてなかったりとか、対価が少なかったりとか、結構そういうケースが多いのでそこを改善したいなっていう気持ちはありますね。


photo by JET


ー物事を判断する上で、大事にしている価値観・行動はありますか。

IWGP(池袋ウエストゲートパーク)のフレーズ「『悪いことすんな』って言ってんじゃないの。『ダサいことすんな』って言ってんの。わかる?」は、結構残ってると思います。

自分のバックボーンが色濃く出ている部分ですね。


photo by JET


ー共に仕事をするかどうか判断する時に聞くこと、大事にしていることはなんですか。

人と話しながら、この人が信頼できるかどうかを判断する基準みたいなものは自分の中で持ってはいるんですけど。

クリエイティブのお互いの名刺になるように、それぞれ何の仕事をしているかについては話すのがセオリーですが、そういうの関係なく有名な人の話を出したり、友達の話とか、あとは聞いてもないのに誰と誰が付き合ってるみたいな話を出してくる人とは絶対仕事はしないようにしてます。

これを言う人でいい人ってあんまり出会ったことないので。

昔、付き合いのあったすごく信頼しているメイクアップアーティストの方が言っていた言葉があるんですけど、「メイクは半分接客業だ」という話があって。

その方は、出会った時は全然売れてなくて、新人の頃にやってもらっていたのですが、そのあとどんどん上達していって、たった数年で日本のトップのアーティストもガンガンやるように上り詰めていて。

秘訣はって聞いた時に「メイクは半分接客業。信用してもらえると、メイクをしながら他の人には言えない話とかをたくさん聞いてしまうことがあるけれど、絶対にその情報を漏らさないようにしている」と言っていて。

だから信用できるんだなって思ったんですよね。

「ここだけの話」とか「言っちゃいけないんだけど」みたいな感じで、近くのアーティストの話を漏らす人とは仕事しちゃいけないなっていうのはやっぱりありますね。


ー自分の中のルーティンはありますか

昔から聞かれる質問なんですが本当になくて、

起きる時間や寝る時間も決めていないし。

結構日本で活動していると、ルーティンって話題としてよく上がると思うんですけど、自己範囲でできるルーティンならいいんですが、何か器具がなきゃダメだとか、そういうルーティンがあると、もしその何かがなかった時にないことが不安になって精神が不安定になることがあると思うので、むしろ作らないようにしています。


photo by JET


ーSKY-HIさんなど様々なアーティストとコラボをしている武瑠さんですが、コラボしてみたいアーティストはいますか

このコロナ禍の中でインスタを始めとしたSNSの使い方が変わったように感じていて。

知らない人からくるDMは今まで開いてもいなかったし、見てもいなかったんですが、何となく前よりも時間ができたし、自分はどんな層に刺さっていてどんな人がフォローしてくれているのかに関心を持つ様になりました。

あと、Twitterとかでよくあることとして、自分の好きな人ばかりをフォローしているから、自分の考えが絶対正しいという思い込みに陥ってしまうことがあるみたいで、それを回避するためにもあえて自分が興味を持っていなかったアーティストさんをフォローしたりして情報収集の幅を広げる様にしています。

そこからフォロバされたり、海外のアーティストからDMで曲作ろうみたいな話をいただいたりもするので、自分の会社だからこそ気軽にチャレンジできますし、そういうことも積極的にやってみたいなと思います。


ー今後やっていきたい活動について教えて下さい。

本当に思いついたらすぐ挑戦してはいるのですが…いつかホテルを作ってみたい気持ちがあります。

場所は特に決めていないのですが、階ごとにプロデューサーやデザイナーが違う、音楽で言うとフェスのようなホテルを作ってみたいと思っています。

入り組んだ建築や色々な音楽が流れていたら面白いなと。



SuG LIVE 2023

THE GAMBLER

【日程】2023年3月9日(木)

【場所】EX THEATER ROPPONGI

【時間】OPEN/START 18:00/19:00


▼公演特設サイト

https://sug2023.tokyo/


BUZZチケ編集部注目ポイント

武瑠がデビュー15周年を迎え、アーティスト・実業家・小説家としての歩みを振り返る!