【対談インタビュー】「ヒップホップとアイドルのラップって何が違うの?」KEN THE 390 × KAIHO(OCTPATH)が目指す新境地
取材・文 : Kobou Kadota
写真:JET
7月6日、渋谷エッグマンで開催されたラップイベント「LYRICIST GARDEN」(※1)で、8人組ボーイズグループOCTPATHのKAIHOと、ラッパーのKEN THE 390が共演を果たした。
ジャンルもキャリアも異なる二人が、なぜ同じステージに立ち、どのようにして交わったのか。
イベントをきっかけに実現した初対談では、それぞれのフィールドから、ラップを通じた自己表現や葛藤、そして挑戦の意味について語り合った。
真摯にチャレンジを続ける、二人のまっすぐな想いをお届けする。
※1「LYRICIST GARDEN」:2025年7月6日に渋谷エッグマンで初開催した、KEN THE 390主催のラップイベント。KAIHO(OCTPATH)と、SUPER★DRAGONの松村和哉(Cuegee)、梅田サイファーからテークエム、KOPERU、DJ pekoが共演。
「ラップでも怒ってくれ」みたいな(笑)
KEN THE 390:いや、こんなところで対談するなんて。
KAIHO:緊張するんですけど…。
KEN THE 390:なかなかないから、すごい新鮮だね。ありがとうございます。
KAIHO:よろしくお願いします。
ーーお二人はどんなふうに出会ったのですか?
KEN THE 390:『PRODUCE 101』(※2)で、KAIHOが練習生で参加していて、「ラップやる子」みたいな。最初からそういうイメージだったんです。
※2『PRODUCE 101 JAPAN』:韓国発のオーディション番組『PRODUCE 101』シリーズの日本版。視聴者投票でデビューメンバーが決定する。KEN THE 390とKAIHOはseason2でお互いトレーナーと練習生という立場で共演した。
KAIHO:最初に、動画でトレーナーの方がフィードバックを言うみたいなのがあったんですよ。その時にちょうどケンザさんのフィードバックの時に、僕が出なかったんです。練習生全員が映るわけじゃなくて、ランダムで。
でも「海帆、海帆、海帆」って、視聴者の方がコメントで言ってくださったんです。すごくラップとして期待してもらってるんだなって感じました。
KEN THE 390:あれは多分、スタッフさんが選んだのを見ていて。俺も最初はよくわかってなかったから、モニターを言われるがままに覗いてたんだけど。
KAIHO:僕は初めて会った時、もう、とにかく、若っ!って。その…顔が。
KEN THE 390:顔が?(笑)
KAIHO:ルックスがめちゃくちゃ若くて。
KEN THE 390:まあ、年齢だってだいぶ上だからね(笑)。
KAIHO:全然、見えないです、本当に。とりあえず第一印象はかっこいい。
KEN THE 390:いやいや、ありがとうございます。嬉しいです(笑)。
KAIHO:出会う前のイメージも、すごい温厚な方で。でも、フリースタイルバトル(※3)をやらせていただいたじゃないですか。あの時はめちゃくちゃアグレッシブでした。
※3 フリースタイルバトル:即興でラップを応酬する対決形式。ライム(韻踏み)や言葉の巧さで勝負する。
KEN THE 390:そうだね。
KAIHO:あの時、漢 a.k.a. GAMI(※4)さんとのバトルとかも見させていただいてたので。
※4 漢 a.k.a. GAMI:日本のラッパー。ハードコアかつ社会的メッセージ性の強いスタイルで知られ、MCバトルの象徴的存在。
KEN THE 390:一番恥ずかしいくらい、噛みつきまくってたね(笑)。
KAIHO:でも、本当に温厚な部分も知っていたので、やっぱりケンさん、すごく温かい人なんだなって思いました。
KEN THE 390:基本、温厚だよ。バトルの時はスイッチが入るから。
KAIHO:僕は、オーディションの時にその姿をめっちゃ見てたんですよ。
僕たちが不安になるくらい怒らなすぎて、「怒ってほしい」と思ったくらいです。
KEN THE 390:ああ、それは言われてた。怒らないし、逆に褒めすぎるから、誰も本気にしなくなって。「本気で言ってるのかな?この人」みたいな(笑)。
KAIHO:KENZO(※5)さんとか、めちゃくちゃ怒ってくださったので。そのギャップもあって、僕らは感覚が麻痺してて。
※5 KENZO:ダンス&ボーカルグループDA PUMPのメンバー。『PRODUCE 101 JAPAN』シリーズではダンストレーナーとして参加し、厳しい指導でも知られた。
KEN THE 390:確かに。ラップは、自分で全部クリエイトするから、あんまり「怒る」っていう意識がないんだよね。
「怒られてラップするって、なに?」みたいな。
KAIHO:僕らも全員ドMになってました。「ラップでも怒ってくれ」みたいな(笑)。
KEN THE 390:そうなんだよね。そもそも怒るって感覚がなかったりもして。
ーー『PRODUCE 101』以降は、お互い交流とかあるんですか?
KEN THE 390:何度かご飯行ったりとか、2人でもあるし、roomR(※6)と一緒にも会ったしね。
※6 roomR:『PRODUCE 101 JAPAN』練習生出身のHIPHOPユニット。番組終了後、KEN THE 390のプロデュースでデビュー。
KAIHO:それこそ前、渋谷でバッタリもありました。超プライベートでバッタリ会ったやつ。
ーー『PRODUCE 101』では先生と練習生という関係でしたが、今ではお互いのこと、どう思ってますか?
KAIHO:僕はもう本当に尊敬の大尊敬。先生ですし、もちろんアーティストとしてもめちゃくちゃリスペクトさせていただいてますし。
「CITY GARDEN」(※8)とかでも、ケンザさんに呼んでいただいて、めちゃくちゃ自分の新しい可能性をどんどん引き出してくださるなっていうところが、すごい感謝で。
※8「CITY GARDEN」:KEN THE 390が主催するHIPHOPイベントで、2022年にスタート。KAIHOは2023年、2024年と2年連続で出演している。2025年も出演予定。
KEN THE 390:ありがとうございます。僕も、オーディションが終わったら、あまり“先生”って感覚はなくて。KAIHOもそうだし、他のメンバーも、あそこで出会って、そこから「ちゃんとラップをやっていきたい」って人たちと一緒に楽しくやれるのが、すごくいいなと思ってます。
それに、KAIHOは、すごく積極的で「ご飯行きましょう」と誘ってくれて、ごはん屋さんに行ったら、今、制作しているDEMOを聴かせてくれたり。
そういう熱意がすごくいいなと思ったし、本気でラップをやりたいんだなっていうのが伝わってくる。「CITY GARDEN」のパフォーマンスも、すごくよかったです。
KAIHO:ありがとうございます。でも、持ち曲1曲だけでしたからね(笑)。
KEN THE 390:「Anthem」ね(笑)。でも積み重ねてやってきてるから。
それに、ソロもあったし、企画でのコラボレーションもあったよね。そこでも歌詞を書き下ろしてくれて。
やっぱり僕は、KAIHOがグループで活動してる姿を見て、かっこいいと思うし、ラップをするとき、どういうパフォーマンスをするかが、すごい楽しみなんです。
コラボ曲でも、KAIHOらしい良い歌詞を書いてくれてるし、それを一緒にパフォーマンスできるのも楽しい。
「“俺が”でいきます!」
ーーKAIHOさんは、「CITY GARDEN」で披露された「Anthem」でご自分の強い意志を歌詞にされています。ご自身ではどのようなリリックが好きですか?
KAIHO:「Anthem」は、OCTPATHから初めてソロで出させてもらって、それをきっかけに作った曲なんです。「一人のメンバーの中でOCTPATHを背負って舵を切っていく番だ」って言ってて、「OCTPATH」っていう文字も歌詞に入ってます。
アイドル活動の中で「引っ張っていくぞ」っていう気持ちだったり、強い自己成長とか意思表示をメッセージとして書いていて、当時のリアルな気持ちそのままです。「もっともっと俺はやれるんだ!」っていう強い思いを書いた曲なので、自分の中で確信が持てないときは指標になるような、そんな曲ですね。
ーーKAIHOさんのことをどんなリリシスト(※9)だと思いますか?
※9 LYRICIST(リリシスト):リリック(※歌詞)を書くときに、言語表現で魅せることのできる人のこと。
KEN THE 390:KAIHOは、やっぱりそのバックグラウンドが一番いいと思うんですよ。ヒップホップとかラップって、“リアル”じゃなきゃいけないと思うんですけど、ここで言う“リアル”っていうのは、不良であるとか、ハードな環境であるってことじゃなくて、その人が置かれた環境をリアルに歌うことだと思うんです。
KAIHOが普段ボーイズグループとして活動してる時に感じる気持ちは、僕たちにはわからない現場のリアル。それをKAIHOがストレートでリアルに、自分の気持ちを歌ってくれることで、すでに価値が生まれてると思うんですよ。みんなが知らない世界の気持ちを、代わりに歌ってくれてるから。
KAIHOの歌詞からそういうものが伝わってくる瞬間が、僕はすごく好きです。
ーーKAIHOさんのどんなリリックが好きですか?
KEN THE 390:何度か言ってるんですけど、『PRODUCE 101』の時に「“ナンバーワン”なのか、“目指す”なのか、ですごい変わる」って話をしたことがあるんですけど。
最初、KAIHOが「俺が目指す日プ(※10)のナンバーワン」みたいな歌詞を書いてて、「“俺が”って言って“目指す”っていうのは、ちょっとニュアンス違うよね」って話をしてたんです。
※10 日プ:『PRODUCE 101 JAPAN』の略称。
「“俺が一番だ”って言うのと、“目指してる”っていうのは、3文字くらいの違いだけど全然違うよね。でも、決めるのはKAIHOだよ」って言ったら、KAIHOが「“俺が”でいきます!」って言ったから、「おぉ、言ったなー!」って(笑)。
いろんな人がいる中で「俺が」って言うのって、結構リスクでもあるじゃないですか。でも、そういうところが僕は、なんか偉そうな言い方になっちゃうけど、「気に入った」っていうか、「おい、言ったな〜!」って(笑)。
そういうのがラップの面白さで、言うことによって自分が奮い立たされて、逆に覚悟が決まるみたいな。そういうラップをKAIHOには開発していってほしいなと思います。
「嫌い」をどれだけ受け入れられるかを大事に
ーー今回、「LYRICIST GARDEN」でまたご共演されますね。
KAIHO:今回、「LYRICIST GARDEN」に出演するって決まってから、まず、やっぱり新曲を絶対に書いて持っていこうと。「挑戦したいな」っていう気持ちで。
「LYRICIST GARDEN」でも前の「CITY GARDEN」とは違ったタイプを見せたいなってこともありましたし。
その時の心情とかも、もっと自分の中で過去の経験だったりとかを音楽を通して、よりアーティスティックに届けたいと思って、オートチューンを使わせてもらったりとか、新しい姿を見せたいっていう。そういう気分で書きました。
KEN THE 390:ありがとう。いや、俺も楽しみにしてる。「CITY GARDEN」はピット(※11)とかのサイズ感で
※11 ピット(豊洲PIT):東京都江東区にある大型ライブホール。スタンディングで約3,000人収容可能。大規模な音楽イベントやツアーファイナルなどにも使用される。
今回はエッグマン(※12)でやるからさ、なんかいい意味でラップやっていく時に、ああいうクラブとかライブハウスにお客さんがたくさん入ってて、あの熱気の中でちゃんとラップするとか。
※12 エッグマン(shibuya eggman):渋谷の老舗ライブハウス。スタンディングで約250人収容の小規模会場で、観客との距離が非常に近いのが特徴。
あと、周りのラッパーとの距離も近い。そういう環境にKAIHOがいて、どういうパフォーマンスなのかとかも味わってもらいたいなって。それがやっぱ、いいんじゃないかなと思って。
KAIHO:嬉しいですね。
KEN THE 390:実現できて嬉しいです。
KAIHO:めっちゃ近いですね。
KEN THE 390:めっちゃ近いよ。お客さんとも近いし、多分熱気もダイレクトに来ると思うし。
KAIHO:曲まるごと歌詞忘れるかもしれない(笑)。
KEN THE 390:楽屋も一つしかないから、多分ずっとみんないる感じだと思う。
それはそれでいいかも。やっぱり僕らからしたら普通だけど。そういうとこが逆にいいなと思って。楽しめるんじゃないかと。
KAIHO:ちょっと僕も新鮮です。
ーー今回のラップイベント「LYRICIST GARDEN」で、ボーイズグループのKAIHOさんをブッキングされたのはなぜ?
KEN THE 390:バックグラウンドが違う人がヒップホップを使って自己表現するっていうのが、単純に面白いと思ってるんです。混ざり合うことで、どっちにもいい化学反応があると思っていて。KAIHOにとっても、いつもはヒップホップの現場にいる僕らとか、梅田サイファーのメンバーと同じステージ、同じ楽屋を経験することが刺激になると思うし。
逆に、KAIHOみたいにラップを始めたばかりで、全然違う背景から新しいところに乗り込んできてる存在は、僕らにとっても刺激になるんですよね。Cuegeeもそうだけど、ガチで挑んでくるラップを近くで見ることによって、僕らも相乗効果を受けると思ってます。
“ちょうどいい違い”っていうのがあって、それがすごくいいんじゃないかなって思っています。
ーーKAIHOさんは、ボーイズグループとして活動しながら、なぜラップでソロステージにも挑戦を?
KAIHO:まず第一に、自分の可能性の先を見たいという気持ちがあります。これがいいと思ってやったことが、必ずしも正解じゃないこともあるし、「嫌だな」って思ったことでも、やってみたら案外よかったり、自分にハマったりすることってあるじゃないですか。
グループ活動をしていて、「このパートいけるかな」とか、「キーが厳しいけど、やってみたら出た」みたいなこともあるし、何でもやってみたいっていうのが僕の性格。ラップもその一つで、自己表現の手段なんです。
ラップのステージに出させていただいた時、自分の中から何かが出せた実感があって、心から燃えたし、もっと知らない世界に出会えるんじゃないかっていうワクワクもあって。実際、そういう現場でリアルなラッパーの方たちと関われたことで、「俺はこういう空間が好きなんだな」って改めて気づけました。
これからもっと、自分の知らないことや壁に出会うと思うんですけど、それも受け入れながら活動していきたいと思っています。
ーーいままで、実際に壁にぶつかって挫折したことや、苦手なことを受け入れた経験は?
KEN THE 390:僕は、野球の話じゃないですけど、基本的に「プロでも3割打てれば」みたいな気持ちでやってるというか。そのくらい、うまくいく方が少ないんですよね。でも、そういうことなら逆に、失敗をどう糧にするかが勝負というか。みんな毎回うまくいくわけじゃないし。
僕みたいなタイプの人がヒップホップシーンに行くっていうのは、やっぱり自分を見つめる機会が多い。ヒップホップ的じゃないからこそ、ずっと考えてたことが小説にも出てると思うし、それが俺なんだと思って。それを堂々と歌詞にしたり、MCバトルで言い返したりするメンタルは、自分にとってすごく大事な経験だったなと思います。
KAIHO:僕は、基本的に何でも受け入れるっていうのがあって。この業界に入る前は就活もしてたし、オーディションを受けて、今は吉本興業でアイドルをやっていて。好き嫌いがいろいろある中で、「嫌い」をどれだけ受け入れられるかを、すごくこの業界にいてしてきている。
ーーどんなことが苦手?
KAIHO:例えば、僕エビ嫌いなんですけど。
KEN THE 390:(笑)そうなの?
KAIHO:はい。でもフライにしたらうまいんですよ(笑)。
KEN THE 390:うちの息子ぐらいのレベルだな(笑)。「カレーに入ってたら人参食べられる」みたいなやつね。
KAIHO:そんな感じです(笑)。
実際、嫌いなことがめちゃくちゃ多いわけじゃないんですけど、でも結局、「絶対いいことだったな」って思えることが多いんですよね。それって、誰かが自分のことを見て「こういうKAIHOっていいよね」って言ってくれたからこそ勧めてくれることだったりするので。
だから、なんでも避けるというよりは、自分のことを思って言ってくれた言葉とか、そんなに多くはないんですが、たまにある批判とか忠告も含めて、ネガティブを全部受け入れてポジティブに変えていく、というような。
そういう自己受容は、この業界にいたら必須だと思うし、自分でもすごく大事にしてます。
ルーツやカルチャーを、自分を信じるオーディエンスへ
ーーアイドルやダンス&ボーカルグループのメンバーの方が、ラップやヒップホップに挑戦することが、最近ますます増えていますね。
KEN THE 390:そうですね。でも別に、アイドルに限らず、僕ももともと社会人でラップしてたんで。「アイドルだからラップが〜」っていうふうには思わないです。別にサラリーマンでもいいし、大工さんでもいいし、コックさんでもいいし、アイドルでもいいし。逆に「ラップをやっちゃいけない」っていう人なんていないですから。
僕は、日高(※13)とかとは昔から一緒だったり、間近で見てきたからか、そういう定義がもともとあんまりないんですよね。結局は、その人がステージで何を見せるかがすべてで、そこに説得力がなければ、何やってても意味がない。でも逆に、そこに説得力があるなら、普段の活動は全部プラスになると思う。だから、自分の環境をリアルに歌ってくれたら、それでいいと思います。
※13 日高光啓(SKY-HI):ダンス&ボーカルグループAAAのメンバーとしてデビューし、ソロ名義SKY-HIでも活動。現在はBMSG代表としてプロデュース業も手がける。
ーーアイドルやダンス&ボーカルグループのラップと、ヒップホップシーンのラップに違いはあると思いますか?
KAIHO:大まかには、そこまで違いはないかなと思っていて。ただ、ラップする人によって捉え方はいろいろなので、例えば社会情勢とか、それぞれの考え方に関わるテーマは、やっぱりアイドルってファンの方がいてこそ活動できている職業なので、避けることもあると思うんです。
でも僕自身、別にめちゃくちゃ社会情勢を語りたいってわけじゃないし、本当に等身大で書いているので、そこまで大きな違いは感じてないです。
KEN THE 390:僕も基本的には違わないと思ってて。ただ、いわゆるラッパーは、自分で書いた歌詞を自分で歌うっていうのが基本になってるとは思うんですよね。
でも、KAIHOのように自分で書いたり、誰かに書いてもらったりしながら、ラップという表現でいろいろやるのは、どちらにも良さがある。ただ、KAIHOもラップでステージに立つときは、自分で書いた歌詞を歌ってるから、それぐらいの違いかなと思います。
ーーKAIHOさんは、ご自身の活動にラップやヒップホップ要素を取り入れたりしますか?
KAIHO:そうですね。僕らの楽曲にもヒップホップ調の曲はあるんですけど、やっぱりファンの方々は“アイドル”という枠の中で応援してくださっている方が多いので、そういう中でヒップホップ要素を取り入れて表現していくことは、めちゃくちゃ新鮮だと思います。
ーーアイドルやダンスボーカルグループのシーンで、ラップを使って自己表現をする方が増えてきていると思いますが、ヒップホップシーンから見たとき、期待することや難しさはどんなところにありますか?
KEN THE 390:そうですね。難しいことはそんなにないと思います。期待することは、やっぱり僕らとは違う目線で、自分たちが感じていることを歌ってくれること。必然的に、今まで僕らが聴いたことのないトピックが出てくると思うんですよ。単純に、それがすごく嬉しいですね。
さらに望むべきは――そういう人たちがラップをするってことは、ヒップホップに携わるということでもあるから、ルーツやカルチャー、ヒップホップやラップの魅力を、自分のことを信じてくれているオーディエンスに伝えていただけたらいいなと。
KAIHO:ファンの中にも、そこまで詳しくない方もいらっしゃると思うので、僕自身がヒップホップシーンをしっかり勉強して、そういうステージを盛り上げていけたら、また新しい意義が生まれるんじゃないかなと思います。
KEN THE 390:そうすれば、そういう人が活躍することがイコール、シーン全体にとってもプラスになるし、ヒップホップの正しい理解が広がっていって、日本の中でもヒップホップがどんどん盛り上がっていくと思うんです。
ヒップホップで、少しでも”生きやすく”
ーー『PRODUCE 101 JAPAN』から、約4年が経ちました。現在のご自身は、当時想像していた未来と比べてどうですか?
KAIHO:いや、もう当時は“想像する”というより、そのときに120%を注ぐっていう感じで、他は見えてなかったです。オーディションを経てどんな将来になるかは漠然としてたし、「グローバルボーイズグループになりたい」っていう気持ちはあったんですけど、とにかく目の前の課題を120%でやることに集中してました。
当時は、正直ビジョンなんてわからなかったけど、今こうしてデビューして振り返ってみると、あの時がめちゃくちゃ大事なターニングポイントだったな、って思います。自分がやってきたことに後悔はまったくないし、本気になれて本当によかったなって思ってます。
今は逆に、自分の中にあるビジョンを持って挑めてる。たとえば今回、KEN THE 390さんに呼んでいただいたイベントもそうですし、お客さんや共演者の方々、スタッフの皆さんも巻き込んで、自分にとってどんなビッグイベントにできるかが、自分との戦いになる。それを根気強く続けていけば、今はまだ見えてない世界が見えてくるんじゃないかって思っています。
ーーKAIHOさんをはじめ、『PRODUCE 101』出身の方々が今いろんな場面で活躍されていますが、方向性が変わったり、悩んだり、壁にぶつかることもあると思います。そういうときに、KEN THE 390さんが考える「ここは大事にしてほしい」と思うことは?
KEN THE 390:そうですね。やっぱりオーディションって、やってるときは本当にそれが全てじゃないですか。そこに人生をかけてるし、そこで生き残らなきゃって、みんな思ってる。実際、それは間違ってないんだけど。
でも時間が経つと、それも人生のいくつかある通過点の一つでしかないんですよね。あそこでデビューしたからって、人生が絶対うまくいくわけじゃないし、大事なのはそこで「何を得たか」だと思う。
だから、KAIHOみたいにそこで出会って、今こうしてまた関わってるのもすごく面白いし、そこからいろんな広がりがある。
結果がどうだったかで“成功”とか“失敗”を決めなくてもいいと思うんですよ。終わった直後って、「全部ダメだった」とか、「100か0か」みたいな考えになっちゃうけど、実はあの時点で何も決まってないんですよね。
だからこそ、全力でのめり込む瞬間はもちろん大事だけど、終わったら結果をちゃんと受け止めて、次に進んでいく。それが一番、その人にとっても良い形になるんじゃないかなと思います。
ーーお二人の今後の目標は?
KAIHO:僕は人生の目標として、日本と海外の架け橋になりたいと思っています。方法はまだわからないですけど、翻訳とかホテル業とか、他にもいろんな形があるじゃないですか。今はアーティストとしてやっていますが、元は、そんなふうに考えながら生きてきたので。今はいただいている環境に感謝しながら、ひたむきにアーティストとしてやって、日本と海外を行き来する存在になりたい。それが、僕のめちゃくちゃビッグビジョンです。
グループとしての目標で言えば、こういったラップのイベントに、グループとしても出られたらいいなって気持ちはすごく強くて。毎回、メンバーも応援してくれてるんですよ。
KAIHO:前回の「CITY GARDEN」のときも、僕が泣いたのを、メンバーがすごい応援してくれてて。
KEN THE 390:みんな来てたよね?
KAIHO:めっちゃ遠くにいたんですけど、影が見えてたんです。
KEN THE 390:泣いてたよね(笑)。KAIHOが泣いてるとき、RHYMESTERとかベテランのラッパーたちが「可愛いなあいつ」って、みんな悶えてたよ(笑)。
KAIHO:あのとき、めっちゃ嗚咽するくらい泣いてました(笑)。
KEN THE 390:そうだったね。
KAIHO:それくらい、メンバー愛も強いので。みんなで力を合わせて、もっといろんなイベントに出られるようになりたいです。
ーー今、ラップステージの他にやってみたいことはありますか?
KAIHO:(KEN THE 390さんに向かって)コラボレーションとかしてみたいですね(笑)。
KEN THE 390:なんか、前にも食事会の帰り際に言われたよね、いいタイミングで(笑)。
KEN THE 390:僕はやっぱり、ラップとかヒップホップのおかげで、すごく楽しく生きられてるし、救われてる部分も多いので。自分の活動――ラップはもちろん、イベントや舞台の音楽、小説も含めて、いろんな形でヒップホップの魅力を広く伝えていきたい。そうすることで、少しでも生きやすくなる人が増えたらいいなと思っています。
[開催決定] 10月18日(土) CITY GARDEN 2025 @ 豊洲PIT
「CITY GARDEN 2025」
2025年10月18日(土) @ 豊洲PIT
OPEN 13:00 START 14:00
■ 第一弾出演者
梅田サイファー
CHICO CARLITO
edhiii boi
Cuegee
KAIHO from OCTPATH
■ 第二弾出演者【NEW!!】
Fuma no KTR
Bimi
TOKYO 世界
Vacchus (TATSUAKI×Fuga)
Jene × DJ RION
Presented by KEN THE 390
■会場
豊洲PIT (〒135-0061 東京都江東区豊洲6丁目1-23)
■ チケット
[2次先行(抽選)受付中!]
~8/13(水) 21:00
・U18割 ¥5,900 –
一般前売り ¥8,800-
※別途 1 ドリンク代、4 歳以上チケット必要。
※座席形態:全自由
■お問い合わせ
SOGO TOKYO : 03-3405-9999 (月~土 12:00~13:00/16:00~19:00※日曜・祝日を除く)
【注意事項】
客席を含む会場の映像・写真が公開されることがあります。
U-18割について、4~18歳迄対象、イベント当日、年齢を証明できる顔写真付き身分証をご持参ください。
身分証を忘れた際は、差額を頂戴する場合がございます。
■ プロフィール
KEN THE 390(ケンザサンキューマル)
ラッパー、東京都町田市出身。音楽レーベル”DREAM BOY”主宰
フリースタイルバトルで実績を重ねた後、2006年にデビューアルバム『プロローグ』をリリースし、以来12枚のオリジナルアルバムを発表している。全国ツアーだけでなく、タイ、ベトナム、ペルーといった海外でもライブを開催し、グローバルな支持を集める。
テレビ朝日「フリースタイルダンジョン」では審査員として出演し、鋭いコメントとその洞察力が話題を呼んだ。
近年はさらに活動の幅を広げ、主催フェス「CITY GARDEN」の開催や、「『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage」「『進撃の巨人』-The Musical-」での音楽監督を担当。また、「PRODUCE 101 JAPAN Season 2、Season 3」ではラップトレーナーとして参加するなど、HIP HOPを軸とした多岐にわたるプロジェクトに挑戦し続けている。
公式HP:https://www.kenthe390.jp/
楽曲:https://www.tunecore.co.jp/artists?id=199838&lang=ja
KAIHO (OCTPATH)
2000年生まれ、大阪府出身。『PRODUCE 101 JAPAN SEASON2』出演者で構成された8人組ボーイズグループ・OCTPATHのメンバー。グループでは主にラップとダンスを担当し、エネルギッシュなパフォーマンスに定評がある。ビートボックスやフリースタイルも操り、マルチな才能で活躍。2023年・2024年にはKEN THE 390主催フェス「CITY GARDEN」に2年連続で出演し、ソロラッパーとしても存在感を高めている。
公式HP:https://octpath-official.com/
海帆Instagram: https://www.instagram.com/kaihonakano/
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異なるバックグラウンドを持つ二人が、ラップを通じた自己表現と挑戦の意義を深掘りしたKEN THE 390と、OCTPATHのKAIHOによる対談!
本日8月2日には、両名が出演するイベント「CITY GARDEN 2025」の第二弾ラインナップが発表され、チケット二次先行(抽選)の受付もスタートした!