タイトル曲だけじゃない!ILLIT新作EP「bomb」収録曲に詰め込まれた魅力を徹底解剖!
前回のEPリリースとなる「I’LL LIKE YOU」、そして日本デビュー作となるAlmond Chocolateに引き続き、依然として人気の勢いが留まることを知らないILLIT(アイリット)。
そんなILLITが、6月16日に3作目のEPである“bomb”をリリースした。
K-POPファンのなかには、タイトル曲のみ聴き収録曲は聴かない人も多くいるのではないだろうか。
もちろんタイトル曲である「Billiyeon Goyangi(Do the Dance)」も素晴らしい楽曲であるが、それ以外の収録曲にもILLITらしい魅力がたっぷりと込められている。今回は、Bombに収録された5曲それぞれの魅力に迫っていく。
ILLITってどんなグループ?
2023年に放送されたサバイバルオーディション番組“R U Next?”にて結成された5人組ガールズグループ。
グループ名の由来は、自主的かつ積極的な意志との意味があるI WILLと、特別な何かを意味する代名詞のITを合わせて作られたものである。ファンネームは“GLLIT”。
2024年3月に「Magnetic」にてデビュー。2025年7月時点で2.3億回を記録し、歴史に残る伝説の1曲となった。
清涼感のあるサウンドとキャッチ―な振り付けで10代~20代女子より圧倒的な人気を博している。
Bombに込められたコンセプトは?
セーラー服に身を包んだメンバーたちが並ぶジャケット写真は、どこか懐かしくも、儚い印象が漂う。
今作『bomb』では、少女たちが抱える心の揺れや、言葉にできない感情の粒をそっとすくい上げたような楽曲が並ぶ。
刹那的で幻想的、それでいて芯のある瑞々しさは、いまのILLITにしか描けない世界だ。
“ゆめかわ”という言葉では収まりきらない、繊細で複雑な魅力がこのEPには詰め込まれている。
それではここから、5曲それぞれの魅力を順に紹介していこう。
1.little monster
EPのコンセプトが全面に打ち出されるオープニングトラック。
不規則なキックのリズムと、切なさを感じさせるメロディラインが、ILLITらしい幻想世界に誘う。
繰り返されるフレーズがふわりと耳に残り、どこかまどろみの中にいるような心地よさもある。
タイトルにある“monster”とは、悲しみやもやもやなどといった負の感情のことを指し、それを全部食べつくしてしまうといったテーマだ。
まるで夢の入り口に立たされたような感覚になる1曲であり、EPの世界観に没入するのにうってつけである。
2.Billiyeon Goyangi(Do the Dance)
当EPの核となるタイトル曲。韓国語タイトルは、「借りてきた猫」という意味を持つ。
最近の曲には珍しく32秒あるイントロでは、オーケストラ楽曲『優雅なる脱走』のサンプリングが施されている。
アップテンポな四つ打ちと軽やかなシンセが特徴の、夏にぴったりなディスコポップだ。
また、波を彷彿とさせるような印象的なサビの振り付けにも注目いただきたい。
目から耳から楽しむことができる、まさに夏にぴったりの1曲である。
3.jellyous
嫉妬を意味するスラングであるjellyと、jealousを組み合わせた造語であるjellyous。
恋の始まりの不安定な乙女心をjellyに例えているとも解釈でき、初々しいときめきを感じさせる魅力的な歌詞である。
疾走感のあるリズムとエアリーなボーカルが絶妙に溶け合い、耳に溶け込んでいく感覚を味わえる。
「かわいい」に留まらない儚さや危うさを感じ取ることができ、ILLITにしか織りなすことのできない少女性を感じ取ることができる。
夏の恋にぴったりな、ILLITらしい感性全開の1曲となっている。
4.oops!
軽やかなスネアから始まり、ずっしり深みのあるベースラインがイントロから際立つこの一曲は、今までの曲とはまた違った雰囲気で序盤から惹きつけられる。
独特なグルーヴ感からレトロな雰囲気を味わえる一方、単にレトロだけでは終わらせない洗練されたムードも感じられる。
夏らしく開放的で明るい気分にさせてくれるサビの歌詞とメロディは、思わずスキップしたくなる陽気さがきらりと光る。
特に、心配ごとなんて3日後には消えちゃうからさ!と軽快な歌詞からは、この瞬間を謳歌する刹那的な世界観を味わえる。
肩の力をふっと抜いてくれるような、そんな心地よさが広がっていくことだろう。
5.bamsopoong
本作の締めくくりとなる「バムソプン」は、夜の遠足という意味である。
ノスタルジックで、どこか懐かしい気持ちになるイントロと、夜風が頬を撫でるような優しい曲調がこの曲の最大の魅力だ。
柔らかく包み込むようなサウンドに気持ちがほどけていく感覚を、たっぷりと味わっていただきたい。
日常の一コマにこの曲を流せば、何気ない瞬間に残るあたたかさや安らぎが特別なひとときにあること間違いなしだろう。
そんな「バムソプン」は、1日の終わりにそっと寄り添い、今日という日をやさしく閉じてくれる、優しくて心に残るラストトラックである。
おわりに
全体的にレトロな世界観である一方、古めかしさや野暮ったさを感じさせない絶妙なバランス感覚がこのEPの魅力といえる。
また、EP全体を通して少女のひと夏の物語のようにも解釈できる。
恋に奔走し、ソウルメイトと何気ない会話を交わす…そんな普遍的な描写に、ある人は深く共感し、ある人は過ぎ去った思い出を懐かしむことだろう。
今作『bomb』は、ILLITの持つキュートさ・クールさ・少女性と幻想性、そして遊び心までを遺憾なく詰め込んだ1枚。
そんなノスタルジーに浸りながらこのEPを味わえば、きっとこの夏は忘れられないものとなる。
タイトル曲「Do the Dance」だけで満足せず、ぜひ収録曲もフルで味わってほしい。