MAJ 2025公式カクテル・パーティー「YouTube Cocktail Party」にて「MUSIC WAY PROJECT」がバークリー音楽大学とのパートナーシップを発表
去る5月22日(木)、ヒルトン京都・螺鈿(らでん)にて、MUSIC AWARDS JAPAN 2025公式カクテル・パーティー「YouTube Cocktail Party」が開催された。MUSIC AWARDS JAPAN 2025は、音楽業界の主要5団体が設立した一般社団法人カルチャー アンド エンタテインメント産業振興会(略称:CEIPA)により初めて開催された、国内最大規模の国際音楽賞である。
5月19日(火)から22日(木)までの期間、ロームシアター京都を中心に授賞式や関連イベントが実施され、「YouTube Cocktail Party」にも、この記念すべきウィークに京都へ集まった多くの音楽業界関係者が来場した。
「MUSIC AWARDS JAPAN 公式YouTubeカクテルパーティー」
【Go Global!YouTubeの強力なサポート】
オープニングでは、YouTube&Google音楽部門グローバル責任者のリオ・コーエン氏が登壇した。コーエン氏は、「2年前に都倉俊一文化庁長官にお会いした際、初めてMUSIC AWARDS JAPANの構想をお聞きし、私は『ぜひ、やるべきです』とお答えしました。日本から世界的なスーパースターを誕生させるためのパートナーとして、YouTubeもMUSIC AWARDS JAPANのサポートができてとても光栄です。Go Global! 一緒に夢をかなえましょう」とスピーチした。
その言葉通り、MUSIC AWARDS JAPAN 2025において、YouTubeとCEIPAのパートナーシップは不可欠なものであった。授賞式はNHKで生中継されただけでなく、グローバル・ストリーミング・パートナーであるYouTubeが全世界(※一部地域を除く)に向けて配信した。
また、開催を記念して5月16日(金)〜18日(日)の3日間にわたり、MUSIC AWARDS JAPANにノミネートされたアーティストが参加する特別版「YouTube Music Weekend celebrating the MUSIC AWARDS JAPAN」が実施された。アーティストのライヴ映像が一斉にプレミア公開されたほか、授賞式での各アーティストのパフォーマンスもアーカイブ配信されるなど、YouTubeによる強力なサポートが展開された。
【バークリー音楽大学が分析する日本の音楽の現在】
同パーティーでは、CEIPAとTOYOTA GROUPの共創プロジェクト「MUSIC WAY PROJECT」のProfessional Seminar開催に向けたキックオフ・セッションも実施された。
キーノート・スピーチを務めたのは、バークリー音楽大学バレンシア校のプログラム・ディレクター、エミリアン・モヨン氏である。演奏、プロダクション、映画音楽作曲、ソングライティング、ミュージックビジネスなど幅広いコースを揃える、世界で最も著名な現代音楽教育機関のひとつであるバークリー音楽大学の紹介からスピーチは始まり、「日本の音楽をどのように世界へ展開できるのか」をテーマに講演が行われた。
Spotifyが公表した「Loud & Clear」レポートによれば、2024年にはストリーミング再生によって高収益をあげている楽曲の言語が多様化しており、多くのアーティストが自国以外の国のリスナーによって高い収益を得ているという。これらのデータは、リスナーが以前よりも多様な言語の音楽を積極的に楽しみ、たとえ理解できない言語であっても音楽として受け入れていることを示しており、日本語の音楽の輸出が収益性の高い指標となっていることを浮き彫りにしている。
モヨン氏は、アニメとのタイアップによる音楽の輸出戦略がこれまで多く用いられてきた一方で、日本の音楽文化はそれ以上に豊かで多層的であると指摘した。その上で、ビデオゲームやショート動画などのバイラルコンテンツを通じた音楽輸出や、アーティストの海外プロモーション手法の多様化を提案した。
さらに、ビジネスモデルに新たなレイヤーを加えることで、日本の音楽市場の規模をさらに拡大できる可能性についても言及。具体的な施策として、「引き続き増加傾向にあるストリーミング収益への投資」「日本の音楽と国際シーンのシンクロ活用」「日本の音楽の輸出、特にライブ演奏の機会の創出」を挙げた。バークリー音楽大学バレンシア校のエミリアン・モヨン氏
【バークリー音楽大学と「MUSIC WAY PROJECT」Professional Seminarとのパートナーシップを発表】
モヨン氏は続けて、バークリー音楽大学が「MUSIC WAY PROJECT」Professional Seminarとパートナーシップを締結したことを発表した。これにより、日本の音楽業界関係者に対し、バークリー音楽大学の教員による国際的な視点から、マーケティング戦略、データアナリティクス、フェスをはじめとする海外でのライブブッキングプロセスなど、世界の音楽業界におけるトレンドやスタンダードを学ぶ機会が提供される。
さらに、2025年12月には東京にて4日間にわたり、「Intensive Workshop」と題した集中ワークショップを対面形式で実施する予定である。このワークショップは、バークリー音楽大学の教員が全編英語で行い、より実践的かつ深い学びを提供するものとなる。最終日には、参加者による英語でのプレゼンテーションが予定されており、修了者にはバークリー音楽大学から特製の修了証が授与されることも明らかにされた。
左からモデレーター駒崎絵里氏、トム・ウィンディッシュ氏、ポール・スミス氏、中川悠介氏
【世界の音楽産業を牽引する顔ぶれのディスカッションが実現】
続いて行われたのは、「Education to Go Global」をテーマとしたパネル・ディスカッションである。ゲスト・パネリストとして登壇したのは、Lorde、Billie Eilish、alt-J、The xxなど数々の人気アーティストのライヴ・ツアーを成功に導いてきたロサンゼルスのブッキング・エージェント、トム・ウィンディッシュ氏(Wasserman Music エグゼクティブ・バイス・プレジデント)、YouTubeアジアパシフィック地域の音楽責任者であり、Googleを含めた同地域の音楽ビジネスを統括しているポール・スミス氏、そしてイベント・プロモーションやアーティスト・マネジメントを手がけ、原宿を拠点に日本のポップカルチャーを世界へ発信し続けている中川悠介氏(アソビシステム代表取締役)の3名である。
モデレーターを務めたのは、ソニー・ミュージックレーベルズ 企画戦略本部 海外マーケティング部 部長の駒﨑絵里氏。「日本のライヴ・ビジネスを世界はどう見ているのか、アーティストにとってどのようなチャンスがあるのか」という問いに対して、ウィンディッシュ氏は次のように語った。「アーティストと会える機会を求めているファンは、世界中どこにでもいます。ファンはチケットを買い、アーティストを応援したいと考えています。XG、新しい学校のリーダーズ、青葉市子といった成功例を見れば、それは明らかです。今、私たちが必要としているのは、ライヴの現場を共に作っていける日本のパートナーです。一緒にがんばってくれる人たちを探しています」とエールを送った。
日本の音楽の強みについて問われたスミス氏は、「アレンジやサウンド・デザインに対するこだわりに加えて、欧米の常識とは異なる新しい自己表現が日本の音楽にはある」と述べた。さらに、「ボーカロイドの技術は音楽制作の民主化をもたらし、サブカルチャーを形成しました。また、Adoのようにステージ上で顔を公開しないスタイルによって、独自の視覚的な物語が生まれました。YouTubeでのショート動画、ミュージックビデオ、ライヴ配信などを活用したヴィジュアル・ストーリーテリングによって、日本のアーティストの芸術表現は、より包括的な音楽体験へと昇華していくと考えています」と分析した。
一方、次世代のアーティストに求められる資質について問われた中川氏は、「まず、英語は話せたほうがいいでしょう。それと、ディールや契約、アテンドといった細かいことをあまり心配せず、とにかく現地に飛び込む姿勢、チャレンジする気持ちが何より大事だと思います」とアドバイスを送った。
この3名の発言からは、日本の音楽が現在、世界から強く求められているという現実が、鮮明に伝わってくる内容となっていた。
【「MUSIC WAY PROJECT」はより深く、実践的なセミナーを展開】
エミリアン・モヨン氏のキーノート・スピーチ内でも発表されたとおり、今回キックオフされたCEIPA × TOYOTA GROUP “MUSIC WAY PROJECT” Professional Seminarでは、バークリー音楽大学の教授陣による多様なトレーニングプログラムが参加者に提供される。
2025年7月から11月にかけては、毎月1回「Public Series」と題し、バークリー音楽大学が現地で実際に行っている授業内容を収録したビデオ講義を放映。日本にいながら体系的に学べる機会を提供する。また、各回では韓国、インドネシア、タイといった日本の音楽輸出における重要マーケットをテーマとし、現地のエキスパートをスピーカーとして招聘し、セミナーおよび懇親会を開催する予定である。
さらに、12月には4日間にわたる「Intensive Workshop」と題した対面型の集中ワークショップを実施する。バークリー音楽大学の教授による全編英語の授業に加え、参加者による英語でのプレゼンテーションも予定されており、実践的かつ高度な内容となる見込みである。
音楽産業のグローバル化と成長支援を推進し、世界への挑戦の道を切り拓くCEIPAとTOYOTA GROUPによる共創プロジェクト「MUSIC WAY PROJECT」の今後の展開に注目が集まる。
【CEIPA×TOYOTA GROUP "MUSIC WAY PROJECT"とは】
コロナ禍によるライフスタイルの変化や、ストリーミングビジネスの伸長により、エンタテインメントコンテンツの市場規模は拡大している。また、日本文化の存在感も国際的に注目を集めつつある。
これらの潮流が世界中の人々を熱狂させ始めている今、日本のコンテンツをさらに世界へ発信するべく、日本音楽の未来を切り開く若者たちが進む「道」を共創し、本質的な日本音楽のグローバル化と持続的な成長を推進するプロジェクトが「MUSIC WAY PROJECT」である。
「日本の音楽が世界をドライブする」を合言葉に、若き才能がさらに活躍できる場を提供していく。
BUZZチケ編集部 注目ポイント
国内最大規模の国際音楽賞「MUSIC AWARDS JAPAN 2025」公式パーティーが京都で開催。
YouTubeやバークリー音楽大学などと連携し、日本音楽のグローバル展開に向けた議論と提言が行われた。